Lutein

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リコペンあるいはリコピン(French lycopène、Germany Lycopin [1])は、カロテノイドのうち α-カロテン、β-カロテン、フィトエン、フィトフルエンなどと同じ酸素を含まないカロテン類、すなわち炭化水素カロテノイドに属しています。リコペンが有する鮮やかな赤色は、私たちが日常目にする多くの食品に彩りを添えてくれます。

リコペンは、β-カロテンやルテインと共にヒトの血液同様、一般的な野菜・果物に豊富に存在が認められる主要なカロテノイドの一つとされています。しかしながら、リコペンという名前が元々ギリシア語でトマトを意味する lykopersikon に由来するように[2]、私たちが日常食する食品のなかでもとりわけトマトとトマトペーストやトマトソースのようなトマト加工食品(トマト製品)に相対的に高濃度のリコペンが含まれていることが他の食事性カロテノイドと異にする点といえるでしょう。

皆様もよく耳にされる機会がおありかと存じ上げますが、「1 日 1 個の○○は医者を遠ざける」という一連の諺のなかで、栄養価の高い食品としてトマトもよく引き合いに出されます。この場合に鍵となる栄養素の一つがリコペンであるかは、これからご紹介差し上げる各分野で得ることのできた情報から伺い知ることができるかも知れません。

リコペンの主要な供給源

トマト・トマト製品以外の食品:

多くの種類の野菜・果物に存在が認められるカロテノイドの一つであると一般に言われているリコペンですが、例えば北米では、食事に由来するリコペンの 85%以上がトマトとその加工食品で占められています[3]。それではトマト・トマト製品以外にリコペンを豊富に含んでいる食品にはどのようなものがあるのでしょうか(表 1)。

表1.
食品中のリコペン含有量
食品 数値(μg/100 g) 文献
スイカ 4,868 [4]
ピンク・グレープフルーツ 1.462 [4]
158 [4]
ピンク・グアバ 5,400 [3]
パパイヤ 2,520 [5]
  • [4]の数値は 100 g 可食部、[3]は 100 g 湿重量当たりのリコペン含量をそれぞれ示す。

米国農務省(USDA)が発表する食品中に含まれている各種カロテノイドに関するデータベースでは[4]、リコペンの含量測定で 79 品目が対象となりました。そのうち、トマト・トマト製品以外にリコペンの比較的豊富な供給源としては、スイカ、ピンク・グレープフルーツ、そして東アジアの固有種である柿があげられます。加えて、ピンク・グアバやパパイヤにもリコペンの存在が認められることが他の文献で報告されています[3,5,6]。

植物界にはさらに、中国南部から東南アジア、インドにかけて分布するナンバンキカラスウリ Momordica cochinchinensis (Lour.) Spreng と呼ばれるつる性多年生草本があります(図 1)。

ナンバンキカラスウリの果実の写真
図1.
ナンバンキカラスウリの果実
  • 画像提供:日本新薬株式会社 山科植物資料館

果実、つる、種子から根までその利用範囲は広く、食用あるいは薬用を目的に栽培もすすめられています[7]。

このウリ科の植物をベトナムでは Gac、またその果実をさして Trai Gac(中国名:木鳖果)などと呼ばれることから、ガックあるいはガック・フルーツとしてご存じのかたもいらっしゃるかもしれません[8,9]。

成熟して赤色を呈したナンバンキカラスウリの仮種皮(種子を包む果肉の組織)には β-カロテンやリコペンが豊富に含まれていることから、その栄養学的価値に多大な関心が寄せられつつあります。

Ishida ら(2004 年)の報告によると、ナンバンキカラスウリの仮種皮に含まれているリコペンの濃度は新鮮重 1 g あたり 1,546.5〜3,053.6 μg の範囲とされ、市販されているトマトより 76 倍以上も高いことが明らかにされています[9]。

さらに、このナンバンキカラスウリの仮種皮には高濃度の不飽和脂肪酸の存在認められることから、この種の脂肪酸が共存するリコペンや β-カロテンのようなカロテノイドのバイオアベイラビリティーを増大させる役目を果たしていると論文の著者は考えています。

トマトおよびトマト製品:

上述した通り、リコペンの供給源としてトマト・トマト製品以外にも魅力的な食品が多数存在することがわかり、改めて植物界の多様性を認識することができました。

しかしながら、リコペンをはじめとするカロテノイドのような日々生命活動を営む上で重要とされる栄養素を継続して取ろうとするとき、地域性を超えてより多くの人々が常食として利用し易い食品としては依然としてトマトあるいはその加工食品に軍配が上がりそうです。

トマトは現在行われている産業上の貯蔵食料生産で利用される野菜の中で最も重要度が高いものとされ、従来からトマト栽培を行っている米国、イタリア、ギリシア、スペイン、ポルトガル、トルコ、北アフリカ諸国、イスラエル、カナダ、メキシコ、チリ、ブラジルに加え、近年では中国、旧ソ連南部諸国、オーストラリア、そしてインドも参入しています。

インド料理の写真

インド亜大陸の料理と言えば、私たち日本人の間でも接する機会が以前と比べて格段に増えました。とりわけその深い香味から、調合されたスパイスの虜になった人も少なくないのではないでしょうか。主役の煮込み料理のベース(その代表的なものは、地域により Tomato Sabji, Tomato Gojju, Takkali Gosthu などと呼ばれています)の材料にも概してトマトはタマネギと並んで、あるいはそれ以上に多く用いられます。

このように地球規模で栽培・利用されているトマトですが、加工については、全世界で生産されるトマトの 70%が米国(とりわけカリフォルニア州)と地中海沿岸諸国で行われています[10]。実際に毎年 2,500 万〜3,000 万トンのトマトが加工されています。

これらの数値は年間に生産されるトマトの総重量 7,000 万トンの 1/3 以上に相当します。また、1 人当たりのトマト加工食品の平均消費量は、新鮮なトマトに換算して約 3.5 kg になります。人口集団別にみると、とりわけ EU 域内(14〜15 kg)、イタリア(30 kg 以上)、米国(30 kg 以上)等で消費量の高いことがわかります[10]。

スープ、ホールトマト、ケチャップ、スパゲティソース、トマトペースト、トマトソース、トマトピューレー、トマトジュース、野菜ジュース等、私たちの日常の食生活にはトマトを主原料として加工された製品が多数存在します。それでは、このようなトマト製品におけるリコペン含量にどのくらいの相違があるのでしょうか。

Tonucci ら(1995 年)は、米国の北東部、中北部、西部の主要都市(ニューヨーク、シカゴ、サンフランシスコ)で頻繁に購入される有名ブランドあるいはストアブランド商品について、各種トマト加工食品中のリコペンをはじめとするカロテノイド類の濃度測定を行いました[11]。最高濃度の β-カロテン(1.51 mg/100 g)を示したベジタブル・ビーフ・スープを除く全てのトマト加工食品で濃度が最も高かったカロテノイドはリコペンで、100 g 当たり約 1.5〜55 mg の範囲でした(図 2)。

図2. 主要なトマト・トマト加工食品中のリコペンと β-カロテンの濃度(mg/100 g) 主要なトマト・トマト加工食品中のリコペンと β-カロテンの濃度(mg/100 g)の画像
[文献 5,11 より改変]

トマトは、大量に消費される何種類かの製品に容易に加工することができます[10]。さらに、その工程中で主原料の一つであるトマトに元来含まれているリコペンのような食事成分は失われずにいるどころか、濃縮さえされていることが図 2 の上位に列挙した各加工食品中のリコペン含量からもおわかりいただけるのではないでしょうか。

リコペンはルテインや β-カロテンのように広範な種類の野菜・果物に相対的に豊富な存在が認められるカロテノイドではありませんが[4,12]、その主要な供給源とされるトマト・トマト製品は、入手し易いだけでなく比較的長く貯蔵できるものが多いことから、日常の食生活における利便性と一定の栄養学的要求の両方を満たすことができる食品と言えるのではないでしょうか。

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リコペンは私たちの体内で合成されないため、日常的にカロテノイドが豊富に含まれる食品から適切な摂取を心掛けることが大切です。私たちの血液や母乳中に、食事に由来するリコペンを含む複数のカロテノイドの存在が認められます。

表2.
野菜・果物を豊富に摂取している健常人の血清中の主要なカロテノイドの分布
No. * 食事性カロテノイド 血清中の分布(%)
1 ルテイン * 20
2 リコぺン * 20
3 β-カロテン * 10
4 α-カロテン * 6
5 ゼアキサンチン * 3
6 ζ-カロテン 10
7 フィトフルエン 8
8 β-クリプトキサンチン 8
9 α-クリプトキサンチン 4
10 フィトエン 4
11 アンハイドロルテイン 3
12 γ-カロテン 2
13 ニューロスポレン 2
  • *順序は発表時(1997 年)の商業的入手可能性を優先
  • [文献 13 より改変]

Khachik らの研究グループにより、現在までのところ 25 種類の食事性のカロテノイドと 8 種類のカロテノイド代謝物(それらのシス異性体は除く)が発見されています[5,13,14]。さらに、リコペンはルテインと共に野菜・果物を豊富に摂取している健常人の血清中に占める割合が最も高いカロテノイドであることが、Khachik らの研究結果から明らかにされています(表 2)。

トマトに最も豊富に含まれるカロテノイドは既述の通りリコペン(100 g 当り 9.27 mg)ですが、その後にフィトエン(同 1.86 ㎎)、γ-カロテン(同 1.50 mg)、ニューロスポレン(同 1.11 mg)、フィトフルエン(同 0.82 mg)、β-カロテン(同 0.23 mg)、ζ-カロテン(同 0.21 mg)、ルテイン(同 0.08 mg)が続き、トマトにもヒト血清中に分布する主要なカロテノイドの大半が含まれていることがわかります(図 3)。

図3. トマトにおける
カロテノイドプロフィール
トマトにおけるカロテノイドプロフィールの画像
[文献 5,11 より改変]

このことは、カロテノイドを含有する野菜・果物を緑色、黄〜赤色、黄〜橙色の三つのグループに分類し、黄〜赤色のグループに属する食品には、主としてリコペン、ニューロスポレン、γ-カロテン、ζ-カロテン、α-カロテン、β-カロテン、フィトフルエン、フィトエンのような炭化水素カロテノイドが含まれていることを見出した Khachik らの所見と一致しています[13]。

私たちが日常食する野菜・果物から血液あるいは母乳に取り込まれたリコペンは、体内の主にどのような器官や組織にどの程度の濃度で存在しているのでしょうか。

Khachik ら(HPLC‐MS 分析)[5,15]、Hata ら(ラマン分光法、HPLC 分析)[16] の研究グループは、これまでにヒトの肝臓 [15]、肺 [15]、乳房 [15]、子宮頚部 [15]、皮膚 [16]、大腸 [5]、前立腺 [5] といった組織から 1 g あたり ng から μg のレベルでカロテノイドとそれらの代謝物について過去に類をみない包括的な検出を行い、ヒトの血清中に存在が認められる食事性カロテノイドがこれらの器官や組織にも蓄積していることを明らかにしました(表 3)。

表3. ヒトの組織と皮膚における食事性カロテノイドとそれらの代謝物
食事性カロテノイドと
それらの代謝物
ヒトの組織と皮膚におけるカロテノイドと
それらの代謝物の平均濃度(ng/g)
肝臓 乳房 子宮頚部 前立腺 大腸 皮膚
食事性カロテノイド:
α-カロテン 67 47 128 23.6 50 128 8
β-カロテン+シス異性体 470 226 356 125.3 163 256 26
γ-カロテン - * - * - * - * 48 - * 20
リコぺン 352 300 234 95.0 374 534 69
ζ-カロテン 150 25 734 57.2 187 134 13
フィトフルエン 261 195 416 106.3 201 116 15
フィトエン 168 1275 69 - * 45 70 65
α-クリプトキサンチン 127 31 23 4.0 32 21 - *
β-クリプトキサンチン 363 121 37 24.3 146 35 - *
ルテイン+シス異性体 1701 212 90 23.8 128 452 26
ゼアキサンチン+シス異性体 591 90 14 - * 35 32 6
代謝物:
2,6-cyclolycopene-1,5-diols A+B 576 20 42 - * 7 19 7
3'-hydroxy-ε,ε-caroten-3-one 527 22 15 - * - * 12 - *
3-hydroxy-β,ε-caorten-3'-one 319 24 32 - * - * 17 - *
ε,ε-caroten-3,3'-dione 314 - * 52 - * - * 15 - *
3'-epilutein 96 11 10 - * - * 27 - *
* 検出せず
[文献 5, 15,16 より改変]

長年にわたって Khachik らは、さまざまな食事療法を受けたヒトの血清について広範囲の分析を行い、血清カロテノイドの相対濃度は食品に含まれるカロテノイドの比を(少なくともある程度まで)反映していることを明らかにしています。したがって、組織中に認められる一定のカロテノイドの特異的に高い濃度は、その組織による血清からの選択的なカロテノイドの取り込みに起因している可能性があるのかもしれません[14]。

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β-カロテン、α-カロテン、γ-カロテン、β-クリプトキサンチンなどのようなカロテノイドとは異なり、リコペンにはプロビタミン A としての特性は認められません。しかしながら、その不飽和化された性質から、リコペンは強力な抗酸化剤かつ一重項酸素消去剤であると考えられています[17]。

今から 20 年以上も前にデュッセルドルフ大学の Sies らの研究グループは、活性酸素の一つである一重項酸素を消去する能力であるクエンチング能について、各種カロテノイドをはじめとするさまざまな抗酸化剤を対象に調査を行いました。その結果、リコペンが最大のクエンチング能を示し(物理的に最大の消去速度定数)、そのレベルは β-カロテンの 2 倍以上であることを発表しました[18]。

現在では、酸化ストレスは多くの慢性疾患における重要な病因要素の一つとされています。抗酸化剤は、酸化ストレスが細胞に及ぼす損傷作用を緩和する上で重要な役割を果たしています。それ故、近年カロテノイド系の抗酸化剤であるリコペンにも科学的関心が寄せられ、疫学、組織培養、動物モデルでの研究から、慢性疾患予防におけるリコペンの役割を裏付ける証拠が得られつつあります[3,17]。

疾患予防に果たすリコペンの役割を調査する研究は概してその抗酸化機構に焦点が合わされていますが、他の非酸化的機構(例、遺伝子の機能調節、代謝経路、ギャップ結合コミュニケーション、ホルモン及び免疫調節、発癌物質代謝)もまた認識され始めています[19]。

これまでの研究からリコペンは、主として前立腺癌と他の標的臓器における癌、心血管系の疾患、骨粗しょう症をはじめとした骨疾患のような重要な健康問題のリスク低減に関与している可能性のあることが報告されています。同時に、リコペンが関与しているとされる役割の範囲も広がりをみせ、近い将来他の分野においても一層の理論的説明がなされることでしょう。

このページの最後に、リコペンあるいはリコペンを含む食品の豊富な摂取が私たちに一定の健康利益を及ぼす可能性のあることを報告した代表的な分野における研究の概略を年代順にご紹介致します。

トマト製品と各種癌のリスクに関する総説

Giovannucci E. Tomatoes, tomato-based products, lycopene, and cancer: review of the epidemiologic literature. J Natl Cancer Inst. 1999 Feb 17;91(4):317-31.

種々の癌リスクに関するトマト・トマト製品の摂取と血中リコペン(主としてトマトに由来する化合物)濃度について発表された疫学文献のレビューを行った。

確認を行った 72 件の研究のうち、57 件の研究がトマトの摂取量あるいは血中リコペン濃度と決められた解剖部位における癌のリスクとの間に逆の関連が存在することを報告し、これらの逆関連のうち 35 個に統計上の有意性が認められた。

トマトの高摂取あるいは血中リコペン濃度の高値が調査した部位の癌のリスクを統計的に有意に上昇させることを示す研究は存在しなかった。トマトあるいはリコペンに関する高摂取・高濃度と低摂取・低濃度の比較における相対危険度のうちの約半数は、おおよそ 0.6 以下であった。

健康利益を裏付ける証拠は、前立腺、肺、胃部の癌について最も強かった。データはまた、膵臓、結腸、直腸、食道、口腔、乳房、子宮頚部の癌に対する健康利益についても示唆的であった。他に健康利益をもたらす可能性のある化合物がトマトには多数存在しており、複数の成分間における複雑な相互作用がトマトの抗癌特性に寄与している可能性が考えられる。

トマト・トマト製品の高摂取に関連した種々の解剖部位における癌の一貫して低いリスクは、野菜・果物の消費を増やす現在の食事推奨基準にさらなる根拠を提供している。

前立腺癌

Giovannucci E, Ascherio A, Rimm EB, Stampfer MJ, Colditz GA, Willett WC. Intake of carotenoids and retinol in relation to risk of prostate cancer. J Natl Cancer Inst. 1995 Dec 6;87:1767-76.

1986 年、Health Professionals Follow-up Study 開始時に癌と診断されなかった 47,894 人の参加者からなるコホートについて 1年間の食事摂取を評価した。1988 年、1990 年、1992 年に、フォローアップ用の調査票をコホートの全員に送付した。

1986 年から 1992 年の間に 812 人の前立腺癌症例が新たに認められた。β-カロテン、α-カロテン、ルテイン、β-クリプトキサンチンは病期が A1(限局性高分化癌)でない前立腺癌のリスクと関連しておらず、リコペン摂取のみがリスク低下と関連していた。

46 種類の野菜・果物あるいは関連する食品のうち、4 種類が前立腺癌のリスク低下と有意な関連を示した。その 4 種類の食品のうちイチゴ以外のトマトソース(p=0.001)、トマト(p=0.03)、ピザ(p=0.05)はリコペンの主要な供給源である。トマト、トマトソース、トマトジュース、ピザ(これらでリコペン摂取の 82%を占める)を組み合せた摂取は、前立腺癌と病期が C・D の進行性前立腺癌と有意な逆の関連のあることが明らかになった(それぞれ、p=0.01、0.03)。

これらの所見から、リコペンあるいはトマトに含まれる他の化合物の摂取には前立腺癌のリスクを低下させる可能性があるが、調査した他のカロテノイドはリスクと関連のないことが示唆される。

今回の調査結果は癌の発生を減少させるために野菜・果物の消費量を増やすべきでとする提案を裏付けるものであるが、とりわけトマトベースの食品には前立腺癌のリスク低下と関連した有益効果をもたらす可能性のあることを示している。

Rao AV, Fleshner N, Agarwal S. Serum and tissue lycopene and biomarkers of oxidation in prostate cancer patients: a case -control study. Nutr Cancer. 1999;33(2):159-64.

12 人の前立腺癌患者と 12 人の同年齢の被験者を対象に、血清・前立腺組織中のリコペンと他の主要なカロテノイドの濃度、さらに血清中の脂質過酸化とタンパク質酸化についても調査を行った。

癌症例群で対照群より有意に低い血清・組織中のリコペン濃度が認められた(それぞれ、44% [p=0.04]、78% [p=0.050])。血清・組織中の β-カロテンと他の主要なカロテノイドは群間で差異が認められなかった(それぞれ、p=0.395、p=0.280)。

癌症例・対照間の血清脂質過酸化に差異は認められなかったが(それぞれ、7.09±0.74、6.81±0.56 μmol/l [p=0.760])、血清タンパク質中のチオール濃度は癌症例において有意に低いことが明らかになった(p=0.026)。

他のカロテノイドではなくリコペンの状態が前立腺癌症例と対照の間で異なることが本研究から実証された。

Bowen P, Chen L, Stacewicz-Sapuntzakis M, Duncan C, Sharifi R, Ghosh L, Kim HS, Christov-Tzelkov K, van Breemen R. Tomato sauce supplementation and prostate cancer: lycopene accumulation and modulation of biomarkers of carcinogenesis. Exp Biol Med (Maywood). 2002 Nov;227(10):886-93.

前立腺癌を認める男性における DNA 損傷に及ぼすリコペン補給の影響を評価する無作為化プラセボ対照試験において、局限性前立腺癌を認める 32 人の患者が根治的前立腺摘出術予定前にトマトソース・ベースのパスタの摂取を 3 週間受けた(リコペンとして 30 mg/日)。

ベースライン時と介入終了時に、血清・前立腺組織中のリコペンと血清中の前立腺特異抗原(PSA)の濃度、白血球 DNA の8-OH-deoxyguanosine/deoxyguanosine(8OHdG)を測定した。前立腺生検と介入後切除組織のパラフィン切片における癌細胞について、8OHdG 染色とアポトーシスで比較を行った。

トマトソースパスタの連日摂取により、血清・前立腺組織中のリコペン濃度は、それぞれ 1.97 倍と 2.92 倍上昇した(p<0.001)。パスタ補給後の血清 PSA 濃度は平均で 17.5%(p<0.002)、白血球の 8OHdG は 21.3%(p<0.005)低下した。パスタの摂取を受けた患者から得た切除組織では、対照群と比較して前立腺組織の 8OHdG が 28.3%低いことが明らかになった(p<0.03)。

Gleason スコアをマッチさせた前立腺切除組織における癌細胞の 8OHdG 染色では、補給前の生検と比較して平均核密度で40.5%(p<0.005)、平均面積で 36.4%(p<0.018)減少した。補給後の切除組織におけるアポトーシス指数は、過形成細胞と腫瘍細胞で高いことが明らかになった。

全体として、得られたこれらのデータはリコペンの前立腺組織への有意な取り込み、白血球と前立腺組織の両方における DNA 損傷の減少を示している。

Key TJ, Appleby PN, Allen NE, Travis RC, Roddam AW, Jenab M, Egevad L, Tjønneland A, Johnsen NF, Overvad K, Linseisen J, Rohrmann S, Boeing H, Pischon T, Psaltopoulou T, Trichopoulou A, Trichopoulos D, Palli D, Vineis P, Tumino R, Berrino F, Kiemeney L, Bueno-de-Mesquita HB, Quirós JR, González CA, Martinez C, Larrañaga N, Chirlaque MD, Ardanaz E, Stattin P, Hallmans G, Khaw KT, Bingham S, Slimani N, Ferrari P, Rinaldi S, Riboli E. Plasma carotenoids, retinol, and tocopherols and the risk of prostate cancer in the European Prospective Investigation into Cancer and Nutrition study. Am J Clin Nutr. 2007 Sep;86(3):672 -81.

欧州 8 ヵ国の男性 137,001 人を対象に、7 種類のカロテノイド、レチノール、α-トコフェロール、γ-トコフェロールと前立腺癌リスクとの関連性について調査を行った。平均 6 年間の追跡後、996 例の前立腺癌症例の血漿を入手した。合計 1,064 人の対照を選出し、治験施設、年齢、試験参加日でマッチングした。

全体として、調査した微量栄養素のなかで前立腺癌リスクと有意な関連を示す栄養素は存在しなかったが、リコペンと総カロテノイドについては局在性疾患リスクとの関連、進行性疾患リスクとの関連において不均一性を示す証拠が存在した。これらのカロテノイドは局在性疾患リスクとは関連しないが、進行性疾患リスクとは逆の関連が認められた。血漿濃度が最も高い五分位の男性を最も低い五分位の男性と比較した場合、進行性疾患リスクはリコペンで 0.40(95% CI: 0.19〜0.88)、総カロテノイドで 0.35(95% CI: 0.17〜0.78)となった。

リコペン、総カロテノイドと進行性疾患リスクとの間で認められた逆相関関係は、食事選択が前立腺癌検出の遅延、逆因果関係、あるいは他の要因と関連する何らかの予防効果に影響を及ぼしている可能性がある。

Yang CM, Yen YT, Huang CS, Hu ML. Growth inhibitory efficacy of lycopene and β-carotene against androgen-independent prostate tumor cells xenografted in nude mice. Mol Nutr Food Res. 2011 Apr;55(4):606 -12.

in vivo で前立腺癌細胞の増殖に対するリコペンの有効性を評価するために無胸腺ヌードマウスの皮下にアンドロゲン非依存性ヒト前立腺癌細胞株 PC-3 を移植し、低用量リコペン(4 mg/kg)、高用量リコペン(16 mg/kg)、β-カロテン(単回用量 16 mg/kg)を週 2 回、7 週間マウスに摂取させた。

実験終了時、腫瘍体積と腫瘍重量の減少から明らかなように、リコペンと β-カロテンの両方とも腫瘍成長を強力に阻害することが明らかになった。高用量のリコペンと β-カロテンは腫瘍組織における増殖性細胞核抗原の発現を顕著に減少し、血漿中のインスリン様成長因子結合タンパク質-3 のレベルを低下させた。

高用量リコペン補給により、血漿中の血管内皮細胞増殖因子(VEGF)レベルが顕著に低下した。対照的に β-カロテン補給は、対照群と比較して VEGF レベルを顕著に上昇させた。

結論として、リコペンと β-カロテンの補給は前立腺腫瘍細胞の成長を抑制し、その効果はおそらく増殖の減少(増殖性細胞核抗原発現の減弱化)とインスリン様成長因子 1 シグナル伝達の妨害(血漿中のインスリン様成長因子結合タンパク質-3 のレベル上昇)と関連がありそうである。さらに、リコペンによる VEGF 阻害から、リコペンの抗腫瘍機構は抗血管新生にも関与していることが示唆される。

乳癌

Dorgan JF, Sowell A, Swanson CA, Potischman N, Miller R, Schussler N, Stephenson HE Jr. Relationships of serum carotenoids, r etinol, alpha-tocopherol, and selenium with breast cancer risk: results from a prospective study in Columbia, M issouri (United States). Cancer Causes Control. 1998 Jan;9(1):89-97.

血清中のカロテノイド、α-トコフェロール、セレニウム、及びレチノールと乳癌の関係について、米国ミズーリ州コロンビアの Breast Cancer Serum Bank における前向きコホートを対象に、コホート内症例対照研究によって検討を行った。最長で 9.5 年(中央値=2.7 年)のフォローアップ期間中、105 の症例で組織学的に乳癌が確認された。

血清 β-クリプトキサンチンの濃度上昇に伴う乳癌リスク低下について、有意ではない傾きが全ての女性で明らかに認められた。血清リコペンについてもまたリスクと逆の関連が認められ、診断を受ける少なくとも 2 年前に採血を行った女性でリコペン濃度上昇に伴う乳癌リスク低下の有意な傾きが明らかになった。

血清ルテイン・ゼアキサンチンの濃度上昇に伴うリスク低下のわずかに有意な傾きも明らかになったが、α-カロテン、β-カロテン、α-トコフェロール、レチノールあるいはセレニウムについては、乳癌に対する防護作用を裏付ける証拠は観察されなかった。

本研究から得られた結果は、β-クリプトキサンチン、リコペン、ルテイン・ゼアキサンチンのようなカロテノイドに乳癌を防御する可能性があることを示唆している。

Huang JP, Zhang M, Holman CD, Xie X. Dietary carotenoids and risk of breast cancer in Chinese women. Asia Pac J Clin Nutr. 20 07;16 Suppl 1:437-42.

リコペン、α-カロテン、β-カロテン、β-クリプトキサンチン、ルテイン・ゼアキサンチンの摂取が乳癌リスクと逆の関連にあるかを調査するために、2004 年から 2005 年まで中国で症例対照研究を実施した。

症例は 24 歳から 87 歳までの組織病理学的に乳癌が確認された 122 人の女性患者で、年齢を適合させた 632 人の健常女性は外来診療所から無作為に選択した。食物摂取頻度調査票を用いた対面インタビューにより、習慣的な食事摂取と生活習慣に関するデータを収集し、米国農務省の栄養成分組成に関するデータベースを用いて特定のカロテノイドの摂取量を算出した。

摂取量の最高四分位を最低四分位で比較したとき、リコペンの調整オッズ比は 0.26(95% CI: 0.14〜0.46)、β-カロテンで 0.38(95% CI: 0.21〜0.71)、β-クリプトキサンチンで 0.43(95% CI: 0.23〜0.82)、総カロテノイドで 0.37(95% CI: 0.20〜0.68)となり、傾向について統計的に有意な検定結果が得られた。α-カロテンとルテイン・ゼアキサンチンについては、乳癌との関連が認められなかった。

以上の結果から、リコペン、β-カロテン、β-クリプトキサンチンの高摂取は中国人女性における乳癌のリスク低下と関連があると結論付けられた。

Cui Y, Shikany JM, Liu S, Shagufta Y, Rohan TE. Selected antioxidants and risk of hormone receptor -defined invasive breast cancers among postmenopausal women in the Women's Health Initiative Observational Study. Am J Clin Nutr. 2008 Ap r;87(4):1009-18.

カロテノイド、ビタミン E、C の食事・サプリメントからの摂取と ER、PR 両方の状態によって定義される乳癌のリスクとの関連性について、閉経後女性を対象に検討を行った。84,805 人の女性について平均 7.6 年間追跡を行い、2,879 例に浸潤性乳癌が確認され、うち 2,509 例に受容体に関するデータが存在していた。

食事由来の α-カロテン(最低五分位と比較した最高五分位の RR: 0.83; 95% CL: 0.70〜0.99; p=0.019)、β-カロテン(RR: 0.78; 95% CL: 0.66〜0.94; p=0.021)、リコペン(RR: 0.85; 95% CL: 0.73〜1.00; p=0.064)は、ER と PR の状態で定義した乳癌のなかでER+PR+乳癌と逆相関を示したが、他の乳癌グループとは逆相関が認められなかった。

総 β-カロテン総摂取量、サプリメント由来の β-カロテン摂取量、食事由来のルテイン+ゼアキサンチンと β-クリプトキサンチンの摂取量は、ER、PR 状態で定義した乳癌と関連を示さなかった。いずれの供給源のビタミン E と食事由来のビタミン C は乳癌と関連を示さなかったが、総ビタミン C 摂取量とサプリメント由来のビタミン C 摂取量は乳癌全体と弱い正の相関を示した。

結論として、食事由来の特定のカロテノイドは、閉経後女性を対象に ER、PR の状態で定義した浸潤性乳癌のリスクと特異的に相関している可能性が考えられる。

Dorjgochoo T, Gao YT, Chow WH, Shu XO, Li H, Yang G, Cai Q, Rothman N, Cai H, Franke AA, Zheng W, Dai Q. Plasma carotenoids, tocopherols, retinol and breast cancer risk: results from the Shanghai Women Health Study (SWHS). Breast Cancer Res Treat. 200 9 Sep;117(2):381-9.

血漿中のトコフェロール、レチノール、カロテノイドの濃度と中国人女性の乳癌発生リスクとの関連について前向きに調査を行った。ベースライン時で年齢が 40 歳から 70 歳までの女性からなる大規模コホート研究に組み込まれた乳癌の発症例 365 例と個々に適合させた対照の 726 例を調査対象とした。

乳癌リスクとトコフェロール類、レチノール、殆どのカロテノイドとの間に関連性は認められなかったが、5-、7-シスあるいはトランス α-クリプトキサンチンとリコペンの血漿濃度の高値が乳癌発症リスクと逆の相関関係を示した。

本研究から得られた結果は親油性抗酸化剤の乳癌リスクに及ぼす全体的な保護効果を裏付けるまでには至らなかったが、少数のカロテノイドのサブタイプで認められた逆相関関係については今後の研究で確認する必要ある。

Tamimi RM, Colditz GA, Hankinson SE. Circulating carotenoids, mammographic density, and subsequent risk of breast cancer. Cancer Res. 2009 Dec 15;69(24):9323-9.

マンモグラフィにおける乳房密度は乳癌リスクの最も強い予測因子の一つであり、活性酸素種はその乳房密度に作用して乳癌リスクに影響を及ぼしている可能性のあることが示唆されている。本研究でこの仮説の検討を行い、カロテノイド類と乳癌リスクの間の関連性がマンモグラフィ密度によって変化するかを調査した。

Nurses' Health Study で前向きに測定した血中カロテノイド濃度とマンモグラフィ密度を用いて、604 例の乳癌症例と 626 例の対照についてネステッド症例対照研究を実施した。α-カロテン、β-カロテン、β-クリプトキサンチン、リコペン、ルテイン・ゼアキサンチンの血中濃度を測定した。

全体として、血中総カロテノイド濃度は乳癌リスクと逆の関連を示した(p=0.01)。マンモグラフィ密度が最高三分位にある女性で、総カロテノイド濃度は乳癌リスクの 50%低下と関連のあることが明らかになった(オッズ比: 0.5; 95%信頼区間: 0.3〜0.8)。対照的にマンモグラフィ密度の低い女性では、カロテノイド濃度と乳癌リスクとの間に逆の関連は認められなかった。

マンモグラフィ密度が最高三分位にある女性では、高濃度の血中 α-カロテン、β-クリプトキサンチン、リコペン、ルテイン・ゼアキサンチンに乳癌の 40〜50%のリスク低下と有意な関連のあることが明らかになった(p<0.05)。

得られた結果から、血漿中の何種類かのカロテノイドには特にマンモグラフィ密度の高い女性の乳癌リスク低下に役割を果たしている可能性のあることが示唆される。

卵巣癌

Cramer DW, Kuper H, Harlow BL, Titus-Ernstoff L. Carotenoids, antioxidants and ovarian cancer risk in pre- and postmenopausal women. Int J Cancer. 2001 Oct 1;94(1):128-34.

食物摂取頻度調査票を用いて 549 人の卵巣癌症例と 516 人の対照について行われた症例対照研究に基づいて、ビタミン A、D、E、ビタミン C、及び α-カロテン、β-カロテン、リコペンを含む種々のカロテノイドの消費量を推定した。

食品あるいは栄養補助食品に由来するカロテンのうち、α-カロテンの摂取は主として閉経後の女性における卵巣癌リスクと有意な逆の関連を示し、リコペンの摂取は主として閉経前の女性における卵巣癌リスクと有意な逆の関連を示すことが明らかになった。

卵巣癌のリスク低下と最も強い関連のある食品は、生のニンジンとトマトソースであった。α-カロテンやリコペンが豊富な野菜・果物と食品には卵巣癌のリスクを低下させる可能性がある。

Jeong NH, Song ES, Lee JM, Lee KB, Kim MK, Cheon JE, Lee JK, Son SK, Lee JP, Kim JH, Hur SY, Kwon YI. Plasma carotenoids, ret inol and tocopherol levels and the risk of ovarian cancer. Acta Obstet Gynecol Scand. 2009;88(4) :457-62.

韓国人女性の血漿中のカロテノイド、レチノール、トコフェロール濃度と卵巣癌リスクとの関係を調査するために、上皮卵巣癌の 45 例と年齢を対応させた対照 135 例を対象に院内症例対照研究を実施した。逆相 HPCL を用いて術前の β-カロテン、リコペン、ゼアキサンチン+ルテイン、レチノール、α-トコフェロール、γ-トコフェロールの血漿濃度を測定した。

β-カロテン(OR: 0.12; 95% CI: 0.04〜0.36)、リコペン(OR: 0.09; 95% CI: 0.03〜0.32)、ルテイン・ゼアキサンチン(OR: 0.21; 95% CI: 0.09〜0.52)、レチノール(OR: 0.45; 95% CI: 0.21〜0.98)、α-トコフェロール(OR: 0.23; 95% CI: 0.10〜0.53)、γ-トコフェロール(OR: 0.28; 95% CI: 0.11〜0.70)の濃度が最高三分位の女性は、最低三分位の女性と比較して卵巣癌リスクが低いことが明らかとなり、社会疫学ファクターの各階層と一致を示した。

微量栄養素のなかでもとりわけ ss-carotene、リコペン、ゼアキサンチン、ルテイン、レチノール、α-トコフェロール、γ-トコフェロールは卵巣癌のリスク低減に一定の役割を果たしている可能性がある。

胃癌

De Stefani E, Boffetta P, Brennan P, Deneo-Pellegrini H, Carzoglio JC, Ronco A, Mendilaharsu M. Dietary caroenoids and risk of gastric cancer: a case-control study in Urguay. Eur J Cancer Prev. 2000 Oct;9(5):329-34.

ウルグアイにおいて食事が胃癌の発生に果たすカロテノイドの役割を検討するために、1997 年から 1999 年まで 120 例の胃癌症例とマッチングした 360 例の対照について調査を行った。

ビタミン A、α-カロテン、リコペンが胃癌と強い逆の関係にあることが結果から明らかになった(α-カロテン高摂取における胃癌の OR: 0.34; 95% CI: 0.17〜0.65)。α-カロテンとビタミン C の高摂取を組み合せても、胃癌のリスク低下と強い関連が認められた(OR: 0.11; 95% CI: 0.03〜0.36)。

リコペンの高摂取は野菜の摂取と関連した胃癌のリスク低下の大部分を説明していることが示唆されたのに対し、このような効果は果物の摂取では認められなかった。

Yuan JM, Ross RK, Gao YT, Qu YH, Chu XD, Yu MC. Prediagnostic levels of serum micronutrients in relation to risk of gastric c ancer in Shanghai, China. Cancer Epidemiol Biomarkers Prev. 2004 Nov;13(11 Pt 1):1772-80.

中国上海市に居住する 18,244 人の中高齢男性からなるコホート内の症例 191 例と整合対照被験者 570 例を対象に、12 年の追跡期間中、α-カロテン、β-カロテン、β-クリプトキサンチン、リコペン、ルテイン・ゼアキサンチン、レチノール、α-トコフェロール、γ-トコフェロール、ビタミン C の診断前の血清中濃度を測定した。

α-カロテン、β-カロテン、リコペンの血清濃度の高値が胃癌発生リスク低下と有意な関連を示し(p≦0.05)、α-カロテン、β-カロテン、リコペンの最高四分位数を最低四分位数と比較したオッズ比はそれぞれ、0.38(95%信頼区間: 0.13〜1.11)、0.54(0.32〜0.89)、0.55(0.30〜1.00)であった。

ビタミン C の血清濃度上昇は、喫煙歴なし、あるいは 1 日のアルコール消費が 3 drinks 以下と回答した男性において胃癌リスク低下と有意な関連を示し(p=0.02)、第 2、第 3、第 4 四分位数を最低四分位数と比較したオッズ比はそれぞれ、0.69(0.28〜1.70)、0.36(0.14〜0.94)、0.39(0.15〜0.98)であった。

血清中の β-クリプトキサンチン、ルテイン・ゼアキサンチン、レチノール、α-トコフェロール、γ-トコフェロールの濃度と胃癌リスクとの間に統計的有意差は認められなかった。食事性のカロテン類、リコペン、ビタミン C がヒトの胃癌に対して化学予防剤となる可能性があることが本研究から示唆される。

結腸癌

Narisawa T, Fukaura Y, Hasebe M, Ito M, Aizawa R, Murakoshi M, Uemura S, Khachik F, Nishino H. Inhibitory effects of natural carotenoids, alpha-carotene, beta-carotene, lycopene and lutein, on colonic aberrant crypt foci formation in rats. Cancer Lett. 1996 Oct 1;107(1):137-42.

ヒトの血液と組織に存在する 4 種類のカロテノイドが結腸における異常腺窩巣の形成を抑制する効果について、Sprague-Dawley ラットを対象に調査した。第 1 週に 3 種類の異なる用量の N-methylnitrosourea を直腸内に投与した。第 2 週から第 5 週まで、用量を徐々に減らしながらカロテノイドを胃管栄養法により毎日摂取させた。

第 6 週に測定を行った結果、リコペン、ルテイン、α-カロテン、パーム・カロテン(α-カロテン、β-カロテン、リコペンの混合物)は結腸の異常腺窩巣の発生を抑制したが、β-カロテンは抑制しないことが明らかになった。

結果から、低用量のリコペンとルテインに結腸癌を予防する可能性のあることが示唆される。

心血管系の健康

Silaste ML, Alfthan G, Aro A, Kesäniemi YA, Hörkkö S. Tomato juice decreases LDL cholesterol levels and increases LDL resista nce to oxidation. Br J Nutr. 2007 Dec;98(6):1251-8.

トマト製品の高摂取と抗アテローム作用に関するメカニズムについては確立されていないため、トマト製品の摂取量増加が血漿脂質と LDL 酸化に及ぼす影響について 21 人の健常者を対象に調査を行った。食事介入には、ベースライン期間、3 週間の低トマト食(トマト製品の摂取を受けない)、3 週間の高トマト食(毎日、400 ml のトマトジュースと 30 mg のトマトケチャップの摂取を受ける)を含んだ。

高トマト食群では、低トマト食群と比べて、総コレステロール値が 5.9 (SD 10) %(p=0.002)、LDL コレステロール値が 12.9 (SD 17.0) %(p=0.0002)減少した。総コレステロール値と LDL コレステロール値の変化は、血清中のリコペン(総コレステロール値: r=0.56, p=0.009; LDL コレステロール値: r=0.60, p=0.004)、β-カロテン(r=0.58, p=0.005; r=0.70, p<0.001)、γ-カロテン(r=0.64, p=0.002; r=0.64, p=0.002)の濃度の変化と有意な相関を示した。酸化リン脂質生成に対して抵抗性を示した血中 LDL 濃度は、高トマト食群で 13%上昇した(p=0.02)。

トマト製品の高摂取量は、正常コレステロール値の健常成人において抗アテローム作用を及ぼし、LDL コレステロール値を有意に低下させ、酸化に対する LDL の抵抗性を増大させた。これらの抗アテローム特性は、血清中のリコペン、β-カロテン、γ-カロテンの濃度変化と関連していることが明らかになった。

Palozza P, Simone R, Catalano A, Boninsegna A, Böhm V, Fröhlich K, Mele MC, Monego G, Ranelletti FO. Lycopene prevents 7-ketocholesterol-induced oxidative stress, cell cycle arrest and apoptosis in human macrophages. J Nutr Biochem. 2010 Jan;21(1):34-46.

リコペンがヒトマクロファージにおける 7-ケトコレステロール(7-KC)誘発性酸化ストレスを低減することが可能か調査を行った。ヒト単球由来マクロファージ THP-1 を 7-KC(10〜25 μM)に 7-KC 単独あるいはリコペン(0.5〜2 μM)との組合せで曝露し、細胞の酸化状態[活性酸素種(ROS)産生、NOX-4 濃度、hsp70、90 発現、8-OHdG 生成]、細胞増殖、アポトーシスにおける変化を監視した。

処理 24 時間後、リコペンはオキシステロールによって誘発される ROS 産生と 8-OHdG 生成の増加を用量依存的に顕著に減少させた。さらにリコペンは、オキシステロールが誘発するレドックス感受性 p38、JNK、ERK1/2 のリン酸化に加え、NOX-4、hsp70、90の発現の増加を強力に阻止した。

リコペンによる 7-KC 誘発性酸化ストレスの減衰は、ヒトマクロファージにおける細胞成長の正常化と一致を示した。リコペンはオキシステロールが誘発する G0 期あるいは G1 期の細胞周期停止を阻止し、p53 と p21 の発現増大を低減させた。同時にリコペンは、カスパーゼ-3 活性化と AKT、Bcl-2、Bcl-xL、Bax に及ぼす 7-KC の修飾作用を制限することによって、7-KC 誘発性アポトーシスを阻害した。

ROS 産生、細胞成長、アポトーシスに及ぼすリコペン、β-カロテン、(5Z)-lycopene の作用を比較した結果、リコペンとその異性体のほうが β-カロテンよりヒトマクロファージにおける 7-KC の危険な影響を阻害するのに有効であることが明らかになった。本研究から、リコペンはヒトマクロファージにおいて 7-KC 誘発性酸化ストレスとアポトーシスを阻害する強力な抗アテローム発生性の物質として作用している可能性が示唆される。

Riccioni G, D Orazio N, Scotti L, Petruzzelli R, Latino A, Bucciarelli V, Pennelli A, Cicolini G, Di Ilio E, Bucciarelli T. Circulating plasma antioxidants, inflammatory markers and asymptomatic carotid atherosclerosis in end -stage renal disease patients: a case control study. Int J Immunopathol Pharmacol. 2010 Jan-Mar;23(1):327-34.

健常被験者並びに血液透析(HD)を受けている患者を対象に、血漿中の抗酸化濃度及び炎症マーカーと頚動脈内膜中膜複合体厚(CIMT)との間の関係を調査するために症例対照研究を実施した。

無症候性の頚動脈アテローム硬化の被験者 40 人(健常者 20 人、ESRD 患者 20 人)が参加した。頚動脈超音波検査(CUI)の後、既往歴、身体検査に関するデータ、静脈血試料を収集し、抗酸化ビタミン(A、E)、カロテノイド(リコペン、β-カロテン)、炎症マーカー(C 反応性タンパク質、フィブリノゲン)の濃度、脂質プロフィルについて調査した。

低濃度のビタミン A、ビタミン E、リコペン、β-カロテンは ESRD 患者における頚動脈アテローム硬化との有意な関連が認められた(p<0.001)。さらに、高濃度の低密度リポタンパク質コレステロールと総コレステロール(p<0.01)、C 反応性タンパク質とフィブリノゲン(p<0.001)も頚動脈アテローム硬化との関連が認められた一方、他の検査パラメータ(高密度リポタンパク質コレステロール、トリグリセリド)とは有意な関連が認められなかった。

脂肪濃度が低く、抗酸化ビタミンを豊富に含む食品の規則的な摂取には、今回の研究で対象となった患者群におけるアテローム性動脈硬化の過程を遅延させる可能性のあることが明らかになった。

Kim JY, Paik JK, Kim OY, Park HW, Lee JH, Jang Y, Lee JH. Effects of lycopene supplementation on oxidative stress and markers of endothelial function in healthy men. Atherosclerosis. 2011 Mar;215(1):189-95.

プラセボ(n=38)あるいは 1 日 6 mg(n=41)、15 mg(n=37)のリコペンのいずれかを 8 週間摂取する群に健常男性 126 人を無作為に割り当て、反応性充血末梢動脈圧測定(RH-PAT)と酸化ストレスで評価した内皮機能にリコペン補給が及ぼす影響の評価を行った。

補給開始 8 週間後に血清中のリコペン濃度は用量依存的に上昇を示した(p<0.001)。リコペン 15 mg/日群では、プラセボ群と比較して、血漿 SOD 活性の顕著な上昇(p=0.014)とコメット法で測定したリンパ球 DNA のテール長の縮小(p=0.042)が認められた。

15 mg/日群のベースラン時の RH-PAT index が 8 週間後に 23% 上昇したことが群内比較から明らかになった(それぞれ 1.45±0.09、1.79±0.12; p=0.032)。また、15 mg/日群においてのみ hs-CRP、収縮期血圧、sICAM-1、sVCAM-1 の有意な減少とβ-カロテンとLDL 粒径の有意な増大が認められた。

RH-PAT index の変化は、特にリコペン 15 mg/日群(r=0.485、p=0.003)における SOD 活性(r=0.234、p=0.017)、コメット法によるリンパ球 DNA のテール・モーメント(r=-0.318、p=0.001)、及び hs-CRP(r=-0.238、p=0.011)と相関を示した。さらに、リコペンの変化は hs-CRP(r=-0.230、p=0.016)、SOD 活性(r=0.205、p=0.037)と相関を示した。

補給後の血清リコペンの上昇は、内皮機能に影響を及ぼす可能性のある酸化ストレスを減少させることが明らかになった。

骨疾患

Rao LG, Mackinnon ES, Josse RG, Murray TM, Strauss A, Rao AV. Lycopene consumption decreases oxidative stress and bone resorption markers in postmenopausal women. Osteoporos Int. 2007 Jan;18(1):109 -15.

50 歳から 60 歳まで 33 人の閉経後女性を対象に 7 日間の食事記録と血液採取を行った。血清中のリコペン、脂質過酸化、タンパク質チオール、骨型アルカリホスファターゼ(BAP)、 I 型コラーゲン架橋 N-テロペプチド(NTx)を測定するために血清試料を用いた。参加者の体重 1 kg 当りの血清リコペンを四分位群に分類し、これらの血清パラメータとの関連付けを行った。

食事記録から評価したリコペン摂取量の高い群で血清リコペンが高いことが結果から明らかになった(p<0.02)。血清リコペンの高値は低レベルの NTx と関連のあることが明らかになった(p<0.005)。同様に血清リコペンの高い群では、タンパク質酸化が低いことが明らかになった(p<0.05)。

食事性抗酸化剤のリコペンは酸化ストレスと閉経後女性における骨代謝マーカーのレベルを低下させ、骨粗しょう症のリスク低減に有益となる可能性のあることがこれらの結果から示唆される。

Yang Z, Zhang Z, Penniston KL, Binkley N, Tanumihardjo SA. Serum carotenoid concentrations in postmenopausal women from the United States with and without osteoporosis. Int J Vitam Nutr Res. 2008 May;78(3):105 -11.

59 人の閉経後女性(62.7±8.8 歳)を対象に、血清カロテノイド濃度、野菜・果物の消費と骨粗しょう症の間の関係について調査を行った。骨密度は二重エネルギーX 線吸光光度分析法、骨粗しょう症の診断は T-スコアに基づいて評価した。血清サンプル(n=53)と 3 日間の食事記録(n=49)について分析を行い、カロテノイドを特定の野菜・果物の摂取量と相関させた。

骨粗しょう症の群で血清リコペン濃度が対照群よりも有意に低いことが明らかになった(p=0.03)。β-クリプトキサンチンの摂取量は、骨粗しょう症群で高値を示した(p=0.0046)。野菜・果物の総摂取量は、血清リコペン、β-クリプトキサンチンと相関を示した(それぞれ、p=0.03、0.006)。血清 α-カロテン濃度はニンジンの摂取量と、ゼアキサンチンと β-クリプトキサンチンはレタスの摂取量と関連を示した。

骨格に有益な効果を及ぼす可能性のあるカロテノイドは、骨粗しょう症を認める女性で低いことが明らかになった。

Sahni S, Hannan MT, Blumberg J, Cupples LA, Kiel DP, Tucker KL. Inverse association of carotenoid intakes with 4-y change in bone mineral density in elderly men and women: the Framingham Osteoporosis Study. Am J Clin Nutr. 2009 Jan;89(1):416 -24.

334 人の男性と 540 人の女性(年齢 75±5 歳)を対象に、総カロテノイドと個々のカロテノイド(α-カロテン、β-カロテン、β-クリプトキサンチン、リコペン、ルテイン・ゼアキサンチン)の摂取量と股関節、脊椎、橈骨幹の骨密度(BMD)及び BMD の 4 年間の変化の間の関連を評価した。

リコペン摂取と腰椎 BMD における 4 年間の変化の間の関連は女性で有意であることが明らかになった(p=0.03)。男性では、総カロテノイド、β-カロテン、リコペン、ルテイン・ゼアキサンチンが転子部 BMD の 4 年間の変化と有意に関係していることが明らかになった(それぞれ、p=0.0005、0.02、0.009、0.008)。

カロテノイドは、男性で転子部 BMD の 4 年間の変化、女性では腰椎に対する保護に関連していることが明らかになった。他の骨部位では有意な関連性は認められなかった。

試験した全ての部位の BMD で一貫性は認められなかったが、これらの結果は高齢男女の BMD におけるカロテノイドの保護的役割を裏付けている。

Sahni S, Hannan MT, Blumberg J, Cupples LA, Kiel DP, Tucker KL. Protective effect of total carotenoid and lycopene intake on the risk of hip fracture: a 17-year follow-up from the Framingham Osteoporosis Study. J Bone Miner Res. 2009 Jun;24(6):1086 -94.

総カロテノイドと個々のカロテノイド(α-カロテン、β-カロテン、β-クリプトキサンチン、リコペン、ルテイン・ゼアキサンチン)の摂取量と偶発性の股関節部骨折、骨粗しょう症性の非椎体骨折との関連について参加した男性 370 人、女性 576 人を対象に評価を行った。

17 年間の追跡期間で合計 100 件の股関節部骨折が認められた。総カロテノイド摂取量の最高三分位の被験者では、股関節部骨折のリスクが最も低いことが明らかになった(p=0.02)。リコペン摂取量の多い被験者ほど股関節部骨折と非椎体骨折のリスクが低いことも明らかになった(それぞれ、p=0.01、0.02)。

股関節部骨折単独では総 β-カロテン摂取量に弱い保護的傾向が認めらたが、統計的に有意な関連には至らなかった(p=0.10)。α-カロテン、β-クリプトキサンチン、あるいはルテイン・ゼアキサンチンとの関係に有意差は認められなかった。

これらの結果は、高齢者の骨の健康において何種類かのカロテノイドが保護的な役割を果たしていることを示唆している。

Mackinnon ES, Rao AV, Josse RG, Rao LG. Supplementation with the antioxidant lycopene significantly decreases oxidative stres s parameters and the bone resorption marker N-telopeptide of type I collagen in postmenopausal women. Osteoporos Int. 2011 Apr;22(4):1091-101.

リコペンが酸化ストレスのパラメータを減少し、閉経後女性における骨代謝マーカー減少、ひいては骨粗しょう症リスク低下をもたらす抗酸化剤として作用するか評価するための無作為化比較対照試験を実施することが本研究の目的である。

50 歳から 60 歳までの閉経後女性 60 人を募った。リコペンを消費しない 1 ヵ月のウォッシュアウト期間後、参加者は(1)通常のトマトジュース、(2)リコペン豊富トマトジュース、(3)トマト Lyc-O-Mata カプセル、(4)プラセボのいずれかの摂取を 1 日 2 回 4 ヵ月間受けた(総リコペン摂取量としてそれぞれ 30、70、30、0 mg/日、n=15/群)。ジュースあるいはリコペン・カプセルの摂取を受けた参加者については、「リコペン補給群」として一つに割り当てた。

4 ヵ月後のリコペン補給群における血清リコペンは、プラセボ群と比べて有意に上昇したことが反復測定 ANOVA から明らかになった(p<0.001)。4 ヵ月後のリコペン補給群ではまた、有意な TAC の上昇(p<0.05)、脂質過酸化の低下(p<0.001)、タンパク質酸化の低下(p<0.001)、NTx の低下(p<0.001)がもたらされた。脂質過酸化、タンパク質酸化、NTx におけるこのような低下は、プラセボ補給群で相当する変化と有意差が認められた(それぞれ、p<0.05、p<0.005、p<0.02)。

得られた結果から、抗酸化剤のリコペンは酸化ストレスのパラメータと骨吸収マーカーの NTx を減少させるのに有益であることが示唆される。

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